公益財団法人農学会 The Foundation of agricultural Sciences of Japan

公益財団法人農学会 会長挨拶

丹下 健 丹下 健会長

(公財)農学会は、我が国の近代農学黎明期である1887年(明治20年)に、初めての農学関係の学会として設立された農学会をその前身とし、以来130年以上にわたり我が国の農学の教育研究の振興に携わってきました。その間、1932年(昭和7年)に財団法人農学会となり、2012年(平成24年)には新公益法人法のもとで新たに公益財団法人農学会となり今日に至っております。


  本法人の目的は、「農学に関する研究教育組織並びに学協会等との連携により、農学に関する研究及び教育を振興し、持続的な農林水産業の発展を図ることにより、人類福祉の向上に寄与する」ことと定款で定めております。 具体的には、若手研究者の顕彰事業としての日本農学進歩賞の授与、日本技術者教育認定機構(JABEE)の技術者教育プログラムの運営による農学分野の技術者教育の推進、年2回の公開シンポジウムの主催と関連機関が開催する学術講演会の共催や後援による農学研究成果の普及・啓発などの事業を行っています。


  過去3年間に主催した公開シンポジウムでは、「持続可能な食料システムに向けて」、「有機農業のいまとこれから -持続可能な社会への貢献-」(令和3年度)、「家族経営農家の飽くなき挑戦と地域創生」、「ウイルスとたたかう農畜水産」(令和2年度)、「ICTが変える食料・農業・農村」(令和元年度)のテーマを取り上げました。SDGsの国際的取組に代表される持続可能な社会の構築に向け、食料生産を担う農学分野の貢献に関する科学的な情報の発信を積極的に行ってきました。令和2年初頭からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、会場での開催が困難になってからはオンラインによる開催となり、遠隔地の皆様にも視聴いただけるようになりました。今後、会場開催が可能になっても、オンライン視聴も併用し、より多くの方への情報発信に努めてまいります。


  近年、異常気象の頻発など気候変動が顕在化しています。生物と環境から構成される地球システムは、食料、環境、エネルギーなど、持続可能な社会を構築していく上で、緊急に取り組まなければならない多くの課題を抱えており、農学が果たす役割はますます大きくなっています。(公財)農学会は、広く社会との連携を深め、従来の枠にとどまることなく、農学に関する研究教育を振興することにより、人類福祉の向上に貢献してまいります。